ジェラートに寄せる思い

あなたは、人生の最後に何を食べたいか考えたことはありますか?ちょっと想像してみてください。


目の前に浮かんできたのは、高価なフルコースですか?
体重を気にせず大好きなスイーツを好きなだけ食べることですか?
それとも、ひいきにしている店のお蕎麦でしょうか?
お母さんが作った我が家のカレーライスを思い浮かべた人もいるでしょう。

でも、いま想像したものが、人生の最後の食事として食べられるとは限りません。
噛む力や、胃腸が弱まり、流動食しか食べられないかもしれません。
健康なときには、考えませんが、いつかは、誰にでも、死は平等に訪れます。
あなたにも、あなたの大切な人にも。

25年前、私の夫が、病に倒れ、普通の食事がとれなくなった時、最後まで口にすることができたのは、氷やアイスクリームでした。
大切な人に、少しでも大好きなものを食べさせてあげたい。きっと介護をしたことがある人は、だれでも思うことでしょう。
そして食べる喜びを味わってもらいたいと、切に願うでしょう。

死は特別なものではなく、暮らしの中にあるものです。
限りある命だからこそ、今、生きていること、生きていてくれることが愛おしいのです。

ジェラートを食べながら、どうぞいつか訪れる死について、そして大切な人と今、一緒にいられることの大切さについて想いを巡らせてみてください。
大切な人に、少しでも大好きなものを食べてもらいたい。

私は、日々の暮らしの中で、その気持ちに、より添っていきたいと思います。

ジェラテリア SeaGrace
店主 島﨑 菜穂子